ゆうき
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BBHF1-南下する青年- / BBHF 個人的2020年ベストアルバムです。このアルバムはアルバム名に倣ったコンセプトアルバムで、北の地から南を目指して走り続ける青年がイメージされています。このアルバムの最も凄いと思った点は、曲が進むにつれて、つまり青年が南下するにつれて、曲自身の気候(?)が変わっていく点です。例えば一曲目の「流氷」という曲は、ゲートリバーブを用いた乾ききったドラムの音に加え、突き抜けるような高音とエコーのかかったボーカルが本当に北極海に浮かぶ流氷を連想させます。後半の曲ではマリンバやボンゴを多用することでジャングルのようなエスニカルな感じを演出していたりもします。空間が移りゆくこのアルバムに合わせて、電車に乗ったりドライブするのがとても大好きです。 Walk Away Renée/Pretty Ballerina / The Left Banke 1967年のアルバムなのですが、どの曲もメロディーが本当に美しすぎてとても聴きやすいです。ストリングスの音色に象徴されるような中世ヨーロッパを感じさせる曲調に、どことなくサイケな雰囲気やフォーク・ロックの温かさなどが加わっているように思われます。僕にとって、疲れているときでも逆に嬉しいときでも、どんなシチュエーションでも楽しく聴ける、飲み物で喩えると緑茶のようなアルバムです。特にお気に入りなのは一曲目の『Pretty Ballerina』で、ニュアンス程度のサイケなメロディーに一瞬でレフトバンクの世界に惹き込まれてしまいます。 Judee Sill / Judee Sill The Left Bankeから続いてクラシック繋がりです。古典音楽って偉大だと思います。Judee Sillを知ったのはスピッツの草野マサムネさんのラジオを聴いていた時でした。前説にて、オーバードーズで夭逝したと聴いてどんな音楽なんだと内心ビクビクしていたら、これまた美しいメロディーに優しい歌声が耳に入って拍子抜けしました。罪を犯した服役中にゴスペルに出会い、その影響が楽曲に表れているとのことですが、こんなに美しい形で神について説かれたら日々の行いを見直したくなってしまいます。でもク○リは危ないと思います。 In the Aeroplane Over the Sea / Neautral Milk Hotel Franz Ferdinandというバンドのメンバーが大ファンだというので、初めは知りました。アコースティックなのにパンク味もあり、ゆったり優しい曲調かと思えば急に深いディストーションと共にテンポが上がって激しくなったりと、実に変則的で幻想的な、嵐のように一瞬で過ぎてしまうアルバムだと感じます。サウンドは勿論ですがボーカルも個人的には好きで、どこか気怠げなのに開放的に歌う様に高揚感を覚えます。ただジャケットの絵がこわくて、自分の部屋には置きたくないです。 Love Over Gold / Dire Straits 地球が遺した最大の無形資産、『Telegraph Road』が一曲目に収録されたDire Straitsのスタジオアルバム4作目になります。 Dire Straitsは1970年代末より90年代にかけ世界的なポップシーンにいたバンドなのですが、Mark Knopfler御大の渋い歌声、そしてどこかブルースとルーツをその音に感じさせる独自の3本指フィンガースタイルギターがポップバンドらしからぬ渋みを醸し出しており、僕はそのギャップに瞬殺でした。 1作目より『Sultans of Swing』, 5作目よりStingをフィーチャーした大名曲『Money for Noting』などももちろん好きだったのですが、高校生の時たまたまYouTubeに流れてきた『Telegraph Road』のライブ映像を観て人生で一番の衝撃を受けました。このライブはMark Knopflerのソロツアーで、2015年当時御大は既に64歳だったと思います。『Telegraph Road』は14分超の大作で、5分強のアウトロにおけるギターソロをライブでは毎回アドリブでフレーズを変えて演奏されています。 このライブにおけるギターは、シングルコイルとは思えないほどゴージャスな音の厚みと温かさ、寸分違わぬピッチとアタック、心あるものを遍く揺るがすフィンガーピッキングならではのニュアンス、そして極上のメロディーが至高で、大学に入り僕もシグネチャーギターに手を出してしまいました。 ここまで主に『Telegraph Road』について語ってきたのですが、続く『Private Investgations』、『Industrial Disease』も他のスタジオアルバムとは一線を画したアプローチで作られた大名曲となっており、完全に「Love Over Gold」独自の世界観を生み出しています。 表題曲『Love Over Gold』は後のソロ路線を予見させるような、御大らしいきらびやかなルーツアメリカーナを感じさせてくれて、『Telegraph Road』の次にお気に入りの曲です。 最後の『It Never Rains』においてもアウトロの長尺ギターソロを聴くことができ、趣豊かなフェードアウトでこの作品は幕を閉じます。 |
こうへい
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globe / globe 僕の人生を変えてくれた存在である音楽プロデューサー・小室哲哉(TK)がプロデュースし、自らもメンバーとして参加したユニット・globeの1stアルバムです。今後globeがどのような音楽性の路線に進んでも良いように、収録曲の曲調は比較的多彩に作られており、1枚のアルバムに色々な表情が感じられるのが特徴です。 どの曲にもそれぞれの良さや思い入れがあるので、思い切って収録されている全曲の解説をしたいと思います。 1. GIVE YOU 小室哲哉というと、シンセを何台も並べて演奏する姿が印象的で、電子音楽のイメージが強いですが、意外にもTKのアルバムの導入はピアノをメインとした曲から始まることも多いです。この曲は1分強しかない導入曲ですが、多重録音を駆使したTKの独特なコーラスや鍵盤のタッチ、KEIKOの儚くも力強い歌声など、globeらしさが濃縮された1曲になっています。 2. Feel Like dance シングル曲。最初にこの曲を聴いた時の衝撃は忘れられません。耳に残るイントロ、これまで聴いたことのない曲構成・音づかいなど、全てが新鮮でした。複雑かつ緻密に作られていて、8年間聴いているのに、今なお新たな発見がある名曲です。PVでは、まだデビューしたてで垢抜けきれていないKEIKOとMARCの姿を見ることができ、ここからトップアーティストへと上り詰めていったことを思うと、TKのプロデュース力の凄さに感嘆してしまいます…。 3. GONNA BE ALRIGHT 落ち着いたイントロからがらっと曲調を変えてアップテンポになる展開が初めて聴いた時衝撃を受けたのを覚えています。ライブで別の曲から繋げて演奏されたことがあるのですが、その時のTKの激しいプレイに心を奪われました。こんな風に弾けるようにシンセ練習しよう…! 4. DEPARTURES シングル曲。ダブルミリオンを記録したglobe最大のヒット曲で、globeは知らなくてもこの曲は知っている、という人も多いと思います。ライブバージョンでは曲の最後にTKのソロパートがあるのですが、ソロを弾いているTKがカッコ良すぎて、初めて見た時はそのパートの部分だけ何十回も繰り返し再生してました。 5. Regret of the Day globeの中でも断トツにポップな雰囲気を持つ曲です。サビのメロディラインが特徴的で、意外と中毒性があったりするような気がします。 6. Joy to the love シングル曲。他の曲にも使われていますが、この時期のglobeの打ち込みドラムの音が本当に好きで、安いキーボードでこれに似たドラムの音を延々探しては真似して弾いたり打ち込んだりしていた小〜中学生時代を思い出す1曲です。 7. SWEET PAIN シングル曲。まだglobeにハマりたての頃、憧れのTKに少しでも近づきたくて、この曲のイントロを再現しようと、慣れない手つきでキーボードのつまみをいじっていた頃が懐かしいです…KEIKOのパートからMARCのパートに移る時のギターもエモくて結構好きです。 8. Always Together バラード曲ですが、ピアノを基調とした王道バラードである次の曲とは異なり、打ち込みやシンセ音色を多用した、非常にglobeらしいバラードです。MARCパートがいい味出しています…。 9. Precious Memories 情景の浮かぶ丁寧な歌詞が印象に残る名バラード曲。ピアノの音を聴くと、TKらしい鍵盤のタッチが感じられます。ピアノは指を丸めて弾くのが普通ですが、TKは指を真っ直ぐ伸ばす特徴的な弾き方をします。これを意識して聴くと、クラシックなピアノの弾き方による音との微妙な違いが感じられるかと思います。 10. FREEDOM シングル曲。打ち込み系の曲調ですが、ライブではバンドアレンジされていて、その時のTKのシンセソロがめちゃくちゃかっこいいです。 11. MUSIC TAKES ME HIGHER イントロとアウトロが大好きな曲です。特にアウトロはシンセの音が段々と変化していく様子が印象的で、楽しんで聴ける1曲になっています。 12. LIGHTS OUT TKらしいピアノの音を堪能できるピアノインスト曲です。流れるような音の動きと、高音のリバーブのかかり方が何とも言えないエモさを醸し出しています…。 小6の頃から聴き始めたglobeですが、本当に飽きないです…。今回の文章を書くに当たって、もう一度きちんとアルバムを聴き直したのですが、あの頃と変わらない感動がありました。J-pop史に名を残すこの名盤を、皆さんもぜひ聴いてみてください! |
千田
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LUNA SEA/EDEN 良い!「MOTHER」よりも全然好き! M4.Recallはなんか天国の神殿で流れてる感じの曲でめっちゃ好き!2018年のEDENツアー再現ライブめっちゃ感動した!!EDENには入ってないけどBelieveのカップリングであるClaustrophobiaとかも合わせて聞くのが特にいいです! GLAY/THE FRUSTRATED 良い!全曲良い! Gt.HISASHIの音が歴代作品で一番ギラギラしててかっこいい! M1. HIGHCOMMUNICATIONS ~M4.Beautiful Dreamerの全曲フルスロットルの流れとか最高!! 他作品は2022年にリリース20周年を迎えた「UNITY ROOTS & FAMILY, AWAY」もおすすめです! BUCK-TICK/狂った太陽 良い!捨て曲ない! やっとBUCK-TICKの方向性が決まってきたって感じがヒシヒシ伝わってくる!! M1.スピード みたいなディスコ調のポップな曲に始まったと思えばM3.MY FUNNY VALENTINEみたいな訳分からん曲が来てM6.JUPITER、M7.サクラ みたいな大バラードが展開されたかと思いきや、息をするのも忘れるような鬼気迫る大曲M11.太陽ニ殺サレタ によって締められることからも当時のBUCK-TICKは余程の創作意欲に駆られていたことがわかる! ちなみに僕の中での次点は「No.0」か「SEXY STREAM LINER」です!! X JAPAN/ART OF LIFE 良い!長尺だけど良い!! TAIJI脱退後、X JAPANに改名してからの初のアルバム(全一曲)です!!中学校の通学電車が丁度ART OF LIFE一曲分だったんで下手したらXの曲全体で見ても一番くらい聞いてるかもしれないです!僕と吉野俊紀はギター全部口ずさめます!多分!! これに関しては特に何か言うのも野暮なのでとにかく全編通して聞きましょう!! 森高千里/STEP BY STEP 概説 言わずと知れた、邦楽史に燦然と輝く大名盤。1994年7月25日リリース。 当時の森高と言えば、1992年リリースの「私がオバさんになっても」、93年リリースの「渡良瀬橋」の大ヒットや47都道府県ライブツアー、そしてANAのCM出演やスーパーロングの髪をバッサリとカットするなど常に話題に事欠かない存在であった。 そのような中リリースされた「STEP BY STEP」は、前作「LUCKY 7」に引き続きエヴァーグリーン的な曲調のものが多いが、前作において一部見られたM8. I LOVE YOUやM11. さよなら私の恋 などのようなそれまでのシンセや打ち込み主体で歌詞なども純アイドル的な楽曲はさらに鳴りを潜め、全てバンドスタイルの曲となっている。なお、前作に引き続き作詞やドラム演奏は全曲森高となっている。 曲解説 M1.気分爽快(Album version) アサヒビールとのタイアップ曲として有名。主人公が狙っていた男性と友人がデートに行くと聞き、その話を友人本人から聞きながらも「飲もう」と強がってみせ友人のデートを応援するも失恋の傷は未だに癒えないという歌詞。 失恋を歌いながらもその曲調はとても明るいもので、特にサビの「飲もう」という陽気な歌詞は広く世間に知れ渡った。 MVは歌詞に即したようなセットで撮影されており、サビでの両手を上げて左右に振る様は特に有名。ライブでも客は森高同様に踊る。 M2.若さの秘訣 当時の音楽ライターなどに就いていたであろう女性について、若さの秘訣とは常に感性を外へ外へと向けることだと伝えるような歌詞。 歌詞の通り、オールディーズのロックを彷彿とさせるようなリフが鳴り響いている。 M3.ずる休み 仕事をずる休みをしてゆっくりと秋の空気を感じながら牧場や花畑などにドライブをするという歌詞。個人的にはこの歌詞の情感は後のシングル「休みの午後」に引き継がれているように思われる。 ここまでの2曲ではギターやドラムの生音中心でタイトな曲調のものが続いていたが、この曲ではきらびやかなアコースティックギターやストリングスの音が強調されており、歌詞でのずる休みの爽快感が強調されている。僕も高3の受験勉強に疲れた秋、高校をずる休みした時には真っ先にこれを聞いて散歩してました。 M4.男なら 子供のように彼女をからかって傷つけてしまった男性を諌めるという内容の歌詞。 シタールのソロに始まり、エスニックな演奏が続くが、歌のメロディーラインは往年の山口百恵などの歌謡曲を感じさせるようなメロディアスなもの。 M5. 夏の日 真夏の静かな海の浜辺にて、思いを寄せる男性と景色を眺めながら自らの幸せを噛み締める歌詞。 壮大なストリングスのシンセや美しい管楽器の特徴的な音色にゆったりとした歌が乗っており、昔懐かしい海での夏のゆったりとした一日を思い起こさせてくれるような歌。 かなり好きです。 M6.Everybody.s Got Something To Hide Except Me and My Monkey 言わずと知れたビートルズ御大からのカバー。僕は森高のカバーでこの曲知りました。 M7.鳥かご 長く連れ添っていた男女が別れ、幸せを失う様を鳥かごから逃げて行く鳥に喩えた歌詞。 ビートルズのカバーに続く曲のせいか、右チャンネルではメロトロンの音色が流れていることが特徴的。 M8. 星の王子様 独り身の女性が星を見上げながらいつか現れてくれると信じてやまない王子様と夜風に乗せて巡り合わせて貰えないかと願う歌。 個人的にはこの曲はinterlude的な役割を果たしているだけのものだと思っていたのだが、改めて歌詞を熟読すると、森高の運命の出会いを信じるようなロマンチックな性格が色濃く出ている非常に重要な楽曲であるように見受けられた。やはりこれも初期の「ミーハー」における「お嬢様じゃないの わたしただのミーハー!」という熱しやすく冷めやすい彼女性格によるものであろう。 M9.私の大事な人 恋人との関係をついつい人に自慢したくなってしまう思いを歌った歌。 個人的にこの曲はあまり重要視しておらず、次の「一度遊びに来てよ」を引き立てる為の楽曲のようなものだと認識しているので多くは語らない。 ちなみに、後の96年の「TAIYO」ツアー武道館公演などでは一曲目にこの曲で森高はフロアタムを叩きながら登場し、曲中も叩き続けているのが印象的である。 M10. 一度遊びに来てよ 学生時代に思いを寄せていてその思いを伝えられないまま上京してしまった異性のことを思い浮かべ、地元に残った自分のことを今でも少しは覚えていて好きでいてくれていることを願って帰ってきて欲しいという思いを歌う歌詞。 後に99年に「一度遊びに来てよ'99」としてシングルカットされたものがリリースされるが、原曲であるアルバムバージョンの方が圧倒的にバンドサウンド中心となっており、聞きやすくアルバムにあっている。 後にシングルカットされるだけあってやはりアルバム曲ながら曲自体のポテンシャルは高く、本作中盤のピークとも言える。 M11. オフィス街の恋 同じオフィス街に勤める男性との恋愛を思い返す歌詞。 前曲は大学卒業間もない頃に同窓生に思いを寄せていたのに対し、本曲では会社員同士の恋愛を歌っており、個人的には両曲の主人公は同一人物でアルバムが進むにつれ歳を重ねるという一つの恋愛ストーリーを書き上げているように感じる。 M12. 台風 これまでのしっとりとした曲調と異なり、曲名通り猛烈な台風にデートの予定を飛ばされて怒る女性の様が歌われている。 歌詞の「ドンパン ドドパッ ドンドパン ドンパン ドドパドン」とか、台風の勢いを感じさせる曲調、嫌いじゃないです。 M13. 風に吹かれて 男性と別れた「私」が風に吹かれるようにどこかの空気の澄んだ温泉宿に行って伸びやかな気持ちになると共に傷も癒せるだろうかと思慕する歌詞。ちなみに歌詞中の温泉街は湯布院とのこと。 間違いなく森高史上最高曲の一角にして当作の大クライマックスへと誘う大曲。僕も高3当時、この曲を聴いて秋空の下どこかへ行きたくなったものです。この曲についても本当に多くを語ると良さを損ないかねないので黙って聞くことを勧めます。MVもめっちゃ良い。 M14. STEP BY STEP~~彼の人生~ 日頃利用する駐車場で話したこともないであろう、警備をしている白髪の男性を考えている歌。 これまでの森高のキャリアではここまで自らの日常風景を切り取って作られた歌詞は無く、この先のより内省的になって行く歌詞の先駆け的な存在として当作の最終曲に位置している。 これまでの雑多な曲達の最後に穏やかなピアノ弾き語り曲を配置するという彼女らしい作品の締め方。 総括 最終曲の解説でも述べたように、非常にバリエーション豊かな曲たちが所狭しと並んでおり、これぞ森高ワールドと言ったような様相を呈している。もちろん単曲で聞くという楽しみ方もあるとは思うが、個人的にはこの雑多な森高ワールドを楽しむためにもアルバムを通して聞くことを強く推奨します。 ちなみに、ネクストステップとしては渡良瀬橋などが入っている前作「LUCKY 7」や打ち込みアイドル時代の象徴的な名盤「見て」などがおすすめです。 |